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スポーツ基本法改正:29条は暴力的指導をなくす突破口? 専門家が解説する意義

2025-06-14
スポーツ基本法改正:29条は暴力的指導をなくす突破口? 専門家が解説する意義
朝日新聞デジタル

改正スポーツ基本法29条:スポーツ界の「暴力」に立ち向かう新たな一歩

改正されたスポーツ基本法において、29条1項に「暴力等の防止」が明記されました。これは、長年問題視されてきたスポーツ指導における暴力行為に対し、国や地方公共団体が具体的な対策を講じることを義務付ける条項です。これまで法的な空白が存在していたこの分野に、重要な意味を持つ改正と言えるでしょう。

スポーツにおける暴力行為は、選手の心身に深刻な影響を及ぼし、競技への意欲を奪うだけでなく、重大な人権侵害にもつながりかねません。しかし、具体的な法的規制がなかったため、根絶に向けた取り組みは十分に進んでいませんでした。今回の改正は、まさにその空白を埋め、スポーツ界全体の意識改革を促す起爆剤となる可能性があります。

杉山翔一弁護士が解説する29条の意義

スポーツにおける人権問題に詳しい杉山翔一弁護士に、改正スポーツ基本法29条の意義について詳しく伺いました。

「今回の改正は、スポーツ指導者が『暴力は許されない』という明確な認識を持つことを促す上で非常に重要です。これまで、指導者の裁量に任せられる部分が多かったのですが、29条によって、暴力行為に対する責任が明確化されることになります。また、国や地方公共団体が具体的な対策を講じる義務が課せられたことで、これまで以上に効果的な暴力防止策が期待できます。」

具体的には、どのような対策が考えられるのでしょうか? 杉山弁護士は、「指導者向けの研修の実施、相談窓口の設置、暴力行為に対する通報システムの構築などが考えられます。また、選手の権利意識を高めるための啓発活動も重要です。これらの対策を組み合わせることで、スポーツ現場における暴力行為を効果的に抑制できるでしょう。」と語ります。

今後の課題と展望

しかし、29条の施行によって、全ての問題が解決するわけではありません。重要なのは、この条文を単なる形式的なものにせず、実効性のある対策を講じることです。そのためには、国や地方公共団体の積極的な関与はもちろんのこと、スポーツ関係者一人ひとりが、暴力行為を許さない意識を持つことが不可欠です。

杉山弁護士は、「29条は、あくまでもスタート地点に過ぎません。今後、スポーツ界全体で、人権尊重の精神を徹底し、誰もが安心してスポーツに打ち込める環境を構築していくことが重要です。」と強調します。

改正スポーツ基本法29条は、スポーツ界における暴力問題の解決に向けた大きな一歩となります。この機会に、スポーツ関係者、保護者、そして選手自身が、それぞれの立場で、より良いスポーツ環境の実現に向けて取り組んでいくことが求められています。

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