インドが日本へのレアアース輸出停止を検討か? 国内需要優先で資源開発公社に要請 - EV市場への影響は?
インド、日本へのレアアース輸出を国内需要にシフト?
電気自動車(EV)やハイブリッド車、風力発電機など、現代の産業を支える上で不可欠なレアアース(希土類)に関して、インド政府が衝撃的な動きを見せています。ロイター通信の報道によると、インド政府は資源開発公社「インディアン・レアアース(IREL)」に対し、日本へのレアアース輸出を停止し、国内の需要に優先的に供給するよう要請したとのことです。
この決定の背景には、中国のレアアース輸出規制強化が大きく影響しています。中国は4月、トランプ政権時代に開始された「相互関税」に反発し、7種類のレアアースの輸出管理を強化しました。これにより、レアアースの供給網に混乱が生じ、各国が代替供給源の確保に奔走しています。
インドの動きが意味するもの
インドは、レアアースの埋蔵量において世界有数の国であり、国内での生産能力も向上しています。今回の輸出停止要請は、国内のEV市場の成長や、再生可能エネルギー分野への投資拡大に伴い、国内需要が急増していることを反映していると考えられます。
日本は、レアアースの多くを輸入に頼っており、特に中国からの輸入に依存しています。インドからのレアアース供給が途絶えれば、日本の製造業に大きな打撃を与える可能性があります。自動車産業、電子機器産業、風力発電産業など、幅広い分野で影響が懸念されます。
今後の展望と日本への影響
インド政府の要請を受け、IRELが実際に輸出停止措置を講じるかどうかは不透明です。しかし、中国の輸出規制強化と国内需要の増加という二つの要因が重なり、インドがレアアースの供給戦略を大きく見直す可能性は高まっています。
日本政府は、この状況を注視し、レアアースの安定供給を確保するための対策を講じる必要があります。具体的には、他の国からのレアアース調達先の多様化、国内でのレアアースリサイクル技術の開発、レアアースの備蓄量の増加などが考えられます。
今回のインドの動きは、レアアースを巡る国際的な緊張の高まりを示すとともに、日本がサプライチェーンの強靭化を図る必要性を改めて認識させる出来事となりました。