外国人向け国民健康保険の納付率、日本人より低いも「大幅」ではない 政府の公式見解
日本に在留する外国人の国民健康保険(国保)の納付率が、日本人全体と比較して低いという問題について、政府が答弁書を閣議決定し、その内容が注目を集めています。日本保守党の竹上裕子衆院議員からの質問主意書への回答として発表されたこの答弁書では、「外国人の納付率が日本人を大幅に下回っているとは考えていない」という政府の見解が示されました。
具体的には、外国人の国保納付率は63%であり、日本人を含めた全体の納付率93%と比較すると、30ポイント低いという状況です。この差について、竹上議員は「危機意識が感じられない」と批判しています。背景には、言語や文化の壁、手続きの複雑さなどが考えられます。また、外国人労働者の場合、不安定な雇用状況や収入の変動などが、納付の遅れや未納につながる可能性も指摘されています。
政府は、この問題を認識しつつも、大幅な差ではないという立場を維持しています。しかし、外国人労働者の増加が続く中で、国保の納付率の低さは、社会保障制度の持続可能性を脅かす要因となりかねません。今後は、外国人向けの国保制度の説明を充実させたり、手続きを簡素化したりするなど、納付率向上に向けた具体的な対策を講じる必要性が高まっています。
特に、外国人労働者への情報提供は重要です。国保の加入義務や納付方法、未納の場合のペナルティなどを、分かりやすい言葉で丁寧に説明する必要があります。また、多言語対応の窓口を設置したり、外国人向けの相談会を開催したりすることも有効でしょう。
さらに、外国人労働者の雇用環境の改善も、納付率向上に貢献する可能性があります。安定した雇用と適切な収入は、国保の納付を確実にする上で不可欠です。企業に対しては、外国人労働者の権利を尊重し、公正な労働条件を提供することを求められます。
今回の政府の答弁書は、外国人向けの国保制度について、改めて議論を深めるきっかけとなるでしょう。外国人労働者を含む、全ての人々が安心して生活できる社会を実現するために、政府、企業、そして私たち一人ひとりが、この問題に真剣に向き合う必要があります。
今後の政府の具体的な対策に、大きな期待が寄せられています。