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150年の歴史を誇る「究極の共通言語」:計量単位の未来と「秒」の再定義とは? 産総研 臼田孝氏が語る計量の最前線

2025-06-02
150年の歴史を誇る「究極の共通言語」:計量単位の未来と「秒」の再定義とは? 産総研 臼田孝氏が語る計量の最前線
ニューズウィーク日本版

長さや重さといった基本的な量を測るための計量単位。これらは、国際的な取引や科学技術の発展において、極めて重要な役割を果たしています。1875年に締結された「メートル条約」は、これらの計量単位を国際的に統一するための画期的な出来事であり、今年で150周年を迎えました。

5月20日の「世界計量記念日」に際し、パリで開催された記念式典に出席した、産業技術総合研究所計量標準総合センターの臼田孝・総合センター長に、計量の本質、重要性、そして未来についてお話を伺いました。

計量とは何か? その本質と重要性

「計量」とは、単に長さを測ったり、重さを測ったりする行為だけではありません。それは、自然界に存在する物理量を、客観的かつ普遍的に表現するための体系的な活動です。正確な計量は、科学技術の進歩を支える基盤であり、経済活動の円滑な進行にも不可欠です。

例えば、製品の品質管理、医療機器の精度保証、環境計測など、私たちの生活のあらゆる場面で計量は利用されています。計量の信頼性が損なわれれば、これらの活動は成り立たなくなるでしょう。

「秒」の再定義と「月の標準時」:計量の最前線

近年、計量科学は目覚ましい進歩を遂げています。その中でも注目すべきは、「秒」の再定義です。従来の「秒」は、セシウム原子の振動数を基準としていましたが、2018年に、より精密な原子時計であるストロンチウム原子の振動数に基づいて再定義されました。

また、宇宙探査の進展に伴い、「月の標準時」の設定も検討されています。月面での活動には、地球との通信遅延を考慮する必要があり、月の環境に適した時間体系を確立することが重要です。

計量単位維持・設定の課題と未来

計量単位の維持・設定は、決して容易な作業ではありません。自然現象の変化や、計測技術の進歩に伴い、常に単位の精度を向上させる必要があります。また、国際的な協調体制を維持し、計量標準の統一を図ることも重要です。

臼田氏は、「計量は、私たち人類にとって、共通の言語のようなものです。計量の精度と信頼性を高めることは、科学技術の発展、経済活動の活性化、そして国際的な平和と繁栄に貢献することにつながります」と語ります。

今後も、計量科学は、私たちの生活を豊かにし、社会の発展を支える重要な役割を果たしていくことでしょう。

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