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「ていねいな暮らし」の原点を探る:花森安治と松浦弥太郎が語る、心地よい生活の系譜

2025-06-27
「ていねいな暮らし」の原点を探る:花森安治と松浦弥太郎が語る、心地よい生活の系譜
日本経済新聞

「ていねいな暮らし」とは?その背景にある価値観とは

近年、SNSを中心に「ていねいな暮らし」という言葉が広く知られるようになりました。それは、物を大切にし、心を込めて手作りしたものを囲み、日々の何気ない瞬間に喜びを見出す、そんな生活スタイルを指します。しかし、この「ていねいな暮らし」は突如として生まれたものではありません。そのルーツを辿っていくと、雑誌『暮しの手帖』、そして花森安治と松浦弥太郎という二人の編集長の存在が見えてきます。

花森安治と『暮しの手帖』が築いた価値観

『暮しの手帖』は、1976年に花森安治によって創刊され、都市生活に疲れた人々に向けて、自然との調和、手仕事の尊さ、そして質素で心豊かな暮らしを提案しました。花森は、大量生産・大量消費の社会に対するアンチテーゼとして、手作りのパンを焼く、自家菜園をする、古道具を大切にするなど、具体的なライフスタイルを提示することで、多くの人々の価値観に影響を与えました。特に、中流階級の女性たちは、『暮しの手帖』に代表される「ていねいな暮らし」の思想に共感し、日々の生活に取り入れようと試みました。

松浦弥太郎と「ていねいな暮らし」の再燃

2006年から2015年まで、『暮しの手帖』の編集長を務めた松浦弥太郎は、花森が築いた価値観を受け継ぎながら、現代社会に合わせた形で「ていねいな暮らし」を再解釈しました。彼のエッセー集は、日常の些細な出来事の中に隠された美しさや喜びを繊細な言葉で描き出し、再び多くの人々の心を捉えました。松浦の言葉は、単なるライフスタイルの提案にとどまらず、現代社会における生き方そのものを問いかけるものでした。

「ていねいな暮らし」の本質とは?

本書『〈ていねいな暮らし〉の系譜』は、花森安治と松浦弥太郎という二人の編集長の人生を軸に、「ていねいな暮らし」という言葉が流行するに至った背景を読み解こうとしたものです。それは、単なるトレンドではなく、現代社会において、人々が心の豊かさを求めている証拠と言えるでしょう。物質的な豊かさだけでは満たされない心の隙間を埋めるように、「ていねいな暮らし」は、私たちに大切な価値観を思い出させてくれます。

本書から得られるもの

本書を読むことで、私たちは「ていねいな暮らし」という言葉のルーツを知り、その本質を深く理解することができます。そして、自分自身の生き方を見つめ直し、より心地よい、心豊かな生活を送るためのヒントを得ることができるでしょう。忙しい毎日の中で忘れがちな、大切な価値観を再確認するきっかけとなる一冊です。

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